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フェノールの測定

1.7 フェノール

〔吸光光度法〕

 前処理した試料のpHを約10に調節し、4-アミノアンチピリン溶液とヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム溶液を加えて、生成する赤い色のアンチピリン色素の吸光度を測定してフェノール類を定量する。

 この方法では、p-位置に置換基があるフェノール誘導体は、4-アミノアンチピリンと反応しにくいので、ほとんど発色しない。

 

1.8 フェノール

 試料採取後直ちに試験操作を行う。

 蒸留の際、試料にりん酸を加え、pHを約4にした後、硫酸銅(Ⅱ)を加えておく。

 蒸留した試料は、pH調整した後、4-アミノアンチピリン溶液とヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムを加えて、生成する赤色のアミノアンチピリン色素の吸光度を測定し、フェノール類を低了する。

 4-アミノアンチピリン吸光光度法では、フェノールの他、o-、m-位置に置換基があるフェノール誘導体&多環式化合物にヒドロキシル基が置換したものも、4-アミノアンチピリンと反応してアンチピリン色素を生成し定量されるが、p-位置に置換基があるものは反応しにくいため定量できない。

1.9 水  銀 JISK0102

〔還元気化原子吸光法〕

揮発性有機物(ベンゼン、アセトン等)……正の誤差→あらかじめヘキサンで抽出除去。

妨害物質がない場合―――→前処理は不要。

試料中の水銀(Ⅱ)―――→塩化すず(Ⅱ)で還元し、空気を通気して水銀蒸気を発生させる。

塩化物イオン……正の誤差→あらかじめ塩化ヒドロキシル アンモニウム溶液で還元。

測定後のガス――――――→硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液を通して大気中に排出。

 

1.10 C O D JISK0102

試料を硫酸酸性とし、酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液を加え、沸騰水中で30分間反応させる。

酸素消費量は、試料との反応で消費した過マンガン酸の量に相当する酸素の量(mgO/L)で表す。

塩化物イオンの妨害を防ぐため、硝酸銀溶液を加え、安定な塩化銀として沈殿させておく。

しゅう酸ナトリウムで、過マンガン酸カリウム溶液の濃度を標定する。

過剰のしゅう酸を、過マンガン酸カリウム溶液で滴定して定量する(逆適定)。

 

1.11 ク ロ ム

 

               吸光光度法               フレーム原子吸光法

   全クロム     Cr(Ⅲ)→Cr(Ⅵ)                  アセチレン・一酸化二窒素フレーム

          ジフェニルカルバジド吸光光度法

   クロム(Ⅲ)    エタノールでCr(Ⅵ)→Cr(Ⅲ)として対照液とする。

          鉄共沈法でCr(Ⅲ)を分離除去する。

※ クロム標準液……重クロム酸カリウムを乾燥させたものを水に溶かして調製する。

 

1.12 ふ っ 素  JISK0102

(1) ランタン・アリザリンコンプレキソン法

145±5℃で妨害物質を除去する。

(2) イオン電極法

あらかじめ蒸留してふっ化物イオンを分離する。

緩衝液は塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸、水酸化ナトリウムから調製し、pHは5.0~5.5に調節する。

濃度が低い方が応答時間は長くなる。

 

1.13 ほ う 素 JISK0102

 分析操作…石英ガラスorソーダ石灰ガラス⇔ほうけい酸ガラスは不可

(1) メチレンブルー吸光光度法

(2) アゾメチン H吸光光度法

(3) ICP 発光分光分析法

(4) ICP 質量分析法

 

1.14 キレート滴定 JISK0102

カルシウムのキレート滴定……pHを12以上とする。

マグネシウムのキレート滴定…pHを10に調節する。エリオクロムブラック Tは変色が遅い。

硝酸-過塩素酸は可⇔硝酸-硫酸は不可

エチレンジアミン 四酢酸(EDTA)を10mmol/L溶液に調製する。

 

1.15 カリウム、ナトリウム JISK0102

(1) ナトリウム

フレーム光度法………アセチレン・空気or水素・窒素フレーム

ナトリウム標準液……塩化ナトリウムを500~600℃で40~50分間強熱した後、

冷却して水に溶かして調整する。

K(4.3eV)Na(5.1eV)Ba(5.2eV)Li(5.4eV)

正の誤差←――――――――――――→負の誤差

(2) カリウム

フレーム原子吸光法…空試験では水を噴霧する。

K(4.3eV)Na(5.1eV)Ba(5.2eV)Li(5.4eV)

正の誤差←――――――――――――→負の誤差

 

1.16 鉛 JISK0102

フレーム 原子吸光法、電気加熱 原子吸光法、

ICP 発光分光分析法、ICP 質量分析法

 

1.17 銅

(1) ジエチルジチオカルバミド酸吸光光度法

…ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム(DDTC)で銅を抽出する。

(2) フレーム 原子吸光法

(3) 電気加熱 原子吸光法…原子化部は黒鉛製or耐熱金属製(タンタル、モリブデン、タングステン)

(4) ICP 発光分光分析法…試料と同様な手続きで検量線を作成する。

(5) ICP 質量分析法………内標準物質はイットリウム、インジウム

 

 

1.18 TOC(全有機炭素)

Total Organic Carbonの略

定量には、燃焼酸化-赤外線式TOC分析法&燃焼酸化-赤外線式TOC自動計測法を適用。

試料は0~10℃の暗所に保存し、できるだけ早く試験する。

TOC標準液は、容量分析用標準物質のフタル酸水素カリウムを120℃で約1h加熱し、デシケータ中で放冷後、所定量を正確にはかり取り、水を用いて調製する。

試薬の調製&操作には、水の種別A3orA4(JISK0557)を使用する。

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